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ヤフーオークションで買った真空管アンプ300Bが2週間経ったところ、故障してしまって出品者に修理してもらうため返品しました。修理完了を待ち切れず、つい自作を決意。いろいろ調べて日本名14GW8、欧米名PCL86という球がかなり評判のようです。しかし、この球はますます希少になっていて値段がどんどん上がり入手困難の状態。インターネットのお陰で何とか入手できました。旧ユーゴスラビア製で音質もなかなか良いそうです。

PCL86シングルステレオアンプの回路図ですがWebにいろいろ存在するが基本はほぼ同じだ。いちおう、以下の回路図を参考しているが電源部分は独自に不要となった12VのACアダプターを再利用しDC点火専用のA電源にしてA電源とB電源を分離しました。その他の変更は赤で標識した通り。

使用する部品ですが抵抗やコンデンサー類は秋月電子の通販サイトで購入し、トランス関係はノグチトンランス販売にて入手。

変更後→

 

高校生時代に半導体の三極管を使ってラジオの自作をした経験がありますがそれ以来実に40年ぶりの電子工作です。あの時は家が貧しくてラジオを買うお金なんてありませんでした。理科の先生にお願いして学校の理科実験室にある不要となった抵抗やコンデンサー、三極管、二極管を頂きました。足らないコイルやトランスなど手巻きで自作をし何とか部品を揃えて簡単な回路でラジオに完成できました。そして、自作のラジオからラジオ番組の音が出た瞬間、あの喜びと感動が私にとっては忘れることのできないものとなっています。

コンデンサーの中でこの緑枠で囲んだ

カップリングコンデンサ(0.047μF)だけは自分流のこだわりとしてAmazonにてオレンジドロップを特別注文したものだ。こいつはよくギターアンプに使用されて好評の一品となっている。

この赤枠で標識したのは確かにだいぶ前まで使っていた何とか家電製品のACアダプターだ。本体はもう存在しないから詳細はわからないが出力は12V、1.6Aとなっている。今回、点火専用のDC電源として活用されている。格好悪いが直流点火なのでノイズが全く乗らず高音質に貢献しているようだ。

       この赤丸で示したのは

パイロットランプだがブルーのLEDで眩しいほど明るすぎて何とかできないかと検討したところ、クリアタイプのシリコンをひと粒付けてみた。固まったら必要の厚さを残し余分を切り取って使う予定だったのだが、固まって見てみると面白いことに蝸牛のような形になっていた。これもまた想定外の出来の良さだ。このままでいいんじゃ!もっと驚いたのは手触りの良さだ。まるで乳首を触るような感触だわ!ごめんなさい!エロそうな言葉になってしまって。

シャシーはスピーカーのエンクロージャーを自作した時の残材を使って手作りだ。ボンドでジョイントし、釘1本も使ってません。そして真空管が立っているところに管径と同寸法で隙間を残し、真空管やデバイスから出る熱を逃すためだ。早く音を出してみたいのでサンドペーパーでの仕上げは後にすることにした。後で分かったことだがこのアンプは消費電力がわずか20数ワットのため、2時間ほど試聴しても電源トランスはあまり熱くならないのだ。手で触っても風呂場のお湯を触ったようなくらいで当然といえば当然だがデジタルアンプには到底及ばないが真空管アンプにしてはエコと言えるのではなかろうかと思う。

 

そしていよいよスピーカーに接続して音出しのテストをやろうと思います。使用するスピーカーはエンクロージャーを自作したFOSTEX 20センチのフルレンジだ。     こいつは

FF225WKという品番だがFF Seriesの中、一番でかくて当然ながら中低域の再生が得意でサブウーファーいらずだ。しかし、この小さなアンプではちゃんと鳴らせるのかな~と、ちょっと心配してますが。ま~、ダメだったら10センチフルレンジのFE108EΣを使って自作したバックロードホーンがあるので、そっちにすれば良いと思った。そしてワクワクしながらスイッチオン・・・・。

みなさん!ここまで来てテストの結果を知りたくなってきてくれたでしょうか?

なんと、この小さなチューブが堂々と20センチのスピーカーを鳴らしてくれました!しかもなかなかの迫力ですわ。もう言葉がいらない!というか、言葉で表現できない位高音質となっています。Youtubeに音出しテストの様子をアップロードしたので良ければ皆さんもお聞きください!

*この動画は普通のデジタルカメラで録画、録音しています。当然、マイクはカメラ内蔵のもので、音質効果はあまり良くありません。実際にスピーカーから直接聞いた音声のほうがもっとクリアで迫力のあるものとなっています。

今回の自作について以下のように総括できるのではないかと思います。

 

良かったところ

1.公称出力が1Wと小さいが効率のいい(90dB以上)スピーカーなら、15畳前後のリビングのようなやや広い空間でも十分使えるのではないでしょうか。(本テストは6畳の部屋で実施したものだがボリュームは9時~10時くらいで録音されている。12時以上に上げると窓ガラスが割れそうな大音量になってしまうからだ。);

2.出力が小さいわりに豊かな低域が得られている。出力トランスの選定が良かったかもしれない。型番:PMF-3WS-7K(ノグチトランス製)スペック:Primary 7kΩ(30mA) Secondary 8Ω Frequency 10Hz~40kHz 最大出力3W(50Hz) バンドカバー型リード線出し 概略寸法61x40x37 「オリエントコア使用 この価格で素直なF特と音質を重視した欲張りモデル」

メーカーが曰く;

3.測定機器がないため細かいことはわかりませんが左右チャンネルとも耳をスピーカーに当て て聞いても残留ノイズというようなものは聞こえませんでした。これはPCL86という球の低ノ イズ特性の他に、B電源と分離したDC点火専用のA電源の採用も貢献しているのではないだろうか。

悪かったところ

1.あまりにも急いで完成を目指したもんで、配線やシャシーの出来があまり満足できるものと なっていない。シャシーは20cm×20cmとちょっと大きかった。部品の数で言えば15cm×15cmでも十分対応できそうだ。しかし、音質への影響を考えると大きいほうが電波の干渉を軽減できるのでとりあえず良しとした。このまましばらく使うつもりだがいつか、改造するかも。

2.参考した回路図に対する理解が間違っていたのか完成最初、ボリュームを上げるに連れ凄い 発振が見られ、いろいろ調べてどうやら正帰還になってしまったようで出力トランス二次側の2本リード線の接続をチェンジしてみたら一発で発振が止まったがそれまではちょっと苦労した。

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平成28年3月3日

 

約半年使ってみたPCL86をついに改造に踏み切った。改造のポイントは3つに絞って行った。

1つに木製シャシーの見直しだ。100円均一の木箱(一升の桝)を生かしサイズも

17㎝×17㎝となり一回り小さくなった。

2つにユニバーサル基板を導入して完全な裸配線から一歩前進?。

3つにヘッドフォンアンプ基板(兼プリアンプ)を追加してヘッドフォンアンプとして単独で使用可能となった。スピーカーで真空管(PCL86)の音を聞くときにプリアンプとして機能し真空管をドライブする仕組みだ。ヘッドフォンアンプ基板には好評なステレオHi-Fi ハイエンドヘッドホンアンプIC TPA6120A2を使い、さらにその前段にオペアンプOP275 J-FET入力・高精度を採用した。音楽を流して音を聞くと改造前に比べると機能性にとどまらず音質も一段と向上したのだ。手間と金がかかったがすごく改造の甲斐があったなあと実感しとっと-。

YouTubeに動画をアップロードしたので良ければお聞きください。

 

 

出来上がってこんな感じ
ヘッドフォンアンプ基板のズームアップです。
OP275 J-FET入力・高精度オペアンプICです。
小さいですね!
 
今回採用したプリアンプ部の回路図。
 
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